定年おやじのセカンドライフ

生きている実感はありますか?

祝・卒寿

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秋晴れの10月9日、母が卒寿(90歳)の誕生日を迎えた。残念なのは、一時帰宅が難しくなり、介護施設でのハッピーバースデイとなったことだ。

妹夫婦と一緒に施設の食堂でささやかに祝った。妹が手作りの首飾りを「おめでとう」と言いながら首にかけると、認知症特有の無表情な顔が少しほころんだ。どの程度認識できているのだろうか?

ケーキの代わりにヨーグルト、プリンそして野菜ジュース。流動食以外は食べさせられないからだ。
「美味しい?」と聞くと、「オイシイ」と何度も答えた。食欲があるのが救いだ。

症状を少しでも遅らせようと行っているのが、廊下の掲示板や新聞のチラシを声を出して読ませることだ。言葉を話すのが難しくなっているが、今日はいつも以上の大きな声でうまくできた。お気に入りは、月替わりで掲示される金子みすずの詩だ。

「母の人生は何だったのか?」
元気だった頃の面影を残す母の横顔を見ると、いつもそう思う。子供達が面会に来てくれるのが、唯一の楽しみで生きる力にもなっているようだ。「待っちょっチャッタヨ!」介護士さんから今日もそう声をかけられた。

車いすを押してみんなで庭を散歩した。穏やかな秋の日差し、可憐なコスモス、静かにながれる時間・・・。この幸せが少しでも長く続いて欲しい。