定年おやじのセカンドライフ

生きている実感はありますか?

小説「二十四の瞳」


今年の夏は特別に暑い。

お盆のさなか、壷井栄の名作「二十四の瞳」を手に取った。一時の暑さしのぎのつもりだったが、どんどん引き込まれた。

 

大量の古本を処分したなかで、残しておいた児童向け文庫本だ。

半世紀以上前の大学1年の春休み、ユースホステル(YH)サークルの男女11人で、ローカル線とバスを乗り継ぎ、YHに宿泊しながら早春の四国路を巡った。

この本を処分できなかったのは、小豆島の「二十四の瞳」の銅像を背景に全員が横一列に並んで撮った写真を、今も時折見返しているからだ。

 

この本の紙は黄色がかっていたが、随所に挿絵があり難しい漢字にはルビがふってあるほか、言葉の解説もあるなど、児童向けの編集が新鮮だった。

 

戦前、戦後の庶民の生活が、自身の経験と重なった。

懐かしい言葉にも出会った。家の手伝い、子守り、ぞうり、伝馬船、大八車・・・。

この時代を生き抜いた父母の苦労が偲ばれた。

現在の世界情勢は当時と酷似している。ガラス細工の「平和の危うさ」と、「戦争の悲惨さ」を現実のこととして考えさせられた。

絶対に戦争はしてはならない!

しばし猛暑を忘れた。