納屋を整理していると、今は亡き父に買ってもらった竹製の鳥かごが出てきた。
小学高学年の時、この鳥かごでメジロを2年近く飼った記憶が蘇った。
メジロは名前のとおり目のまわりに白い輪がある。羽は黄緑色をしている。
当時(昭和30年代初頭)、メジロは故郷の里山に群れをなして生息しており、捕獲や飼育は法律で禁止されていなかった。
飼い始めると、毎朝エサを作って与えるのが日課になった。「塩気は厳禁」と仲間から聞いていた。すぐそばの畑から野菜の葉を採り、すり鉢とすりこ木ですって自家製のきなこに混ぜた。
冬の朝は畑が凍結しており辛かったが,完食しているのを見るのが励みになった。
天気のいい日には水浴びや日光浴をさせた。そんな日は素晴らしいさえずりを聞かせてくれた。椿の花の蜜を吸う姿が愛くるしいかった。
そんなメジロとの別れは突然だった。鳥かごは土間に鴨居から吊るしていた。そのひもを伝い、蛇が襲ったからだ。気づいた時は遅かった。
懐かしくもほろ苦い思い出だ。