2020年は、3月末に10年間勤めた第二の職場を退職、5月末には16年間連れ添った愛犬を看取り夫婦で涙した。
社会との「接点」と良き「相棒」を失った身に、コロナ禍での外出自粛が追い打ちをかけ,言いようのない「喪失感」に襲われた。
救われたのは、コロナの感染を気にせずにすむ趣味があったことだ。
一つは株式投資だ。生きた経済に接するため、これまでにも増して一般紙と経済紙をじっくり読み、マーケットの反応をチエックした。
事業環境の大きな変化に見舞われた業界や企業の研究は、単調な生活に良い刺激を与えてくれる。一方で、目がすぐに疲れ好きな読書もあまりしなくなった。
もう一つは、農作業だ。妻と畑で野菜作りに励むとともに、耕作放棄の田んぼのに生えた伸び放題の雑草を刈った。
草刈り機での長時間の作業は運動不足の解消に役立ったが、高齢による体力の衰えを改めて実感した。
自らに残された時間は長くないことを強く意識し始め、年賀状には次の一文を添えた。
「今年は後期高齢者になります。人生の最終章を「一日一生」の精神で、楽しく、精一杯生きるつもりです」