定年おやじのセカンドライフ

生きている実感はありますか?

日記

人生で初めて立派な日記を買ったのは、中学3年の時、高校受験を契機に書き始めた。

以来、曲がりなりにも継続した結果、2023年の日記は63冊目になる。

 

現在、4時半に起床するとまず、前日の日記を書く。あえて翌朝に書くのは、認知症を予防するためだ。昨日の出来事などを思い出しながら短時間に書き上げる。素直な気持と表現を大切にし、不明な漢字や意味は辞書で確認する。

 

書くことで前日をリセットできる。AKB48のヒット曲の一節「明日がんばろう」の気持ちになる。自分を客観的に振り返る大切な手段でもある。今では書かないと、忘れ物をしたような気分に襲われる。

 

長年同じ日記を愛用しているので、本立てにずらりと並んだ日記は背表紙がきれいに統一されている。妻からは「処分できないの?」とよく


言われるが、私にとっては「自分史」そのもの、とうてい処分する気にはならない。「今日はどんな日だったか?」と昔の日記から当時を「回想」する楽しみも見つけた。

 

高齢者の変化の乏しい日常にも、喜怒哀楽はある。日記に怒りや悲しみ、不安などを吐き出す一方で、小さな喜びや楽しみを見つけながらポジティブに生きたいと思う。

 

2023年初詣

晴天続きの、穏やかな三が日だった。

1月3日、菩提寺と地元の神社に妻と参拝した。

<お寺>

①お寺の入り口のしめ飾りを見た妻が「すごく凝ってるよ」。確かに真ん中に稲穂があるなど、これまで見たことがない作りだった。

②玄関を入ると正面に立派なロウバイが目についた。満開だ。「檀家の人が毎年もってこられます」と住職。わが家のロウばいより花が密集していた。品種が違うのか?

③お布施を住職に手渡す際、「さっき写真を撮っておられましたね」と言われる。

④隣接の納骨堂でわが家のものを拝む。「墓じまい」は、まだしていないが・・・。

<神社>

①地元の神社なので人影はまばら。このひなびた雰囲気が好きだ。家族全員の「平穏な日常と交通安全」を祈った。

②おみくじを引くと「中吉」

③今年も交通安全のお守りを買った。お蔭で、これまで無事故、無違反を続けている。

④妻は「子供達にも送る」と残っていた福梅をすべて買った。

 

毎年、正面の門松の前で皆で写真を撮ってきた。子供達、母そして愛犬がいたが、今は妻と二人。人生の「最終ステージ」だ。

 

2023年が幕を明けた

年賀状に近況を次のように記した。

「下関と山口を定期的に往復しながら、夫婦二人の平穏な日常をすごしています。

田畑の維持管理は大変ですが、妻と行う野菜や草花の栽培など「土いじり」が以前に    も増して楽しくなりました。

テレビ番組「ポツンと一軒家」の登場人物のような心境です。

気が付くと今年は喜寿、感慨深いものがあります。」

 

平穏な日常が少しでも長く続いてほしい。

 

感動

<11月23日>

アナログの良さを再認識した。

大掃除で学生時代のレコードとプレーヤーが出てきた。

レコードのジャケットの裏に、自分が書いた親友の誕生日があった。

懐かしい!未来はバラ色に輝いていた。

 

中学時代お世話になったM先生からの手紙も発見。

大学受験に失敗した際、もらった愛情溢れる手紙だった。こんなに心配をかけたんだ、と読みながら胸がつまった。何のお返しもできなかった。悔やまれてならない。

 

<12月12ー15日>

廊下の修繕工事をお願した。

4日間で予定通り終了。さすがは「モチやはモチや」、りっぱになった。

大工さんなど職人さんの高齢化も深刻のようだ。

 

<12月19日>

朝起きると一面の雪景色。

ロウばいの花にも雪が積もっており、きれいだった。

 

障子の張り替え

12月中旬、障子の張り替えを妻と行った。

廊下の改修工事を機に、「障子もきれいにしよう」と思い立ったからだ。

わが家は古い日本家屋。母屋は築46年、他部分は築56年。10年近く張り替えていなかった。

 

亡くなった母は、冬になるとこまめに張り替えていた。「下から上方に貼る」「最後に霧を吹くと紙のしわがなくなる」ことを教えてくれた。当時と変わったのは障子紙の一枚ものが主流になったことぐらいか?

 

水を浸したスポンジで糊がついた部分を濡らした後、古い紙をはがす。最初はタオルでやっていたが、洗車用スポンジの方がやり易かった。少し時間をおくと、よくはげた。

新しい紙を貼る作業は、思った以上に難しかった。紙が広く長いうえ、すぐに曲がるからだ。妻は手慣れたもので、糊を桟と枠に上手につけていった。最初の障子には苦労したが、二枚目からは順調。7枚を張り替えたが、これでも三分の一にすぎない。

 

張り替えた障子を立てると、見違えるように部屋が明るくなった。穏やかな明るさが差し込む和紙の趣はまさに日本の佇まいだ。寒風が吹く中、水はとても冷たかったが、楽しい作業だった。

愛犬が雷鳴でパニックになり破いた「思い出の障子の穴」とも、お別れした。

 

カマキリ

11月初め、家の焼杉の壁板を腹のふくらみが目立つカマキリがゆっくり登っていた。

大きさは約10センチ。

これを見つけた妻が「カマちゃん、あんたは登るのが上手やねー」と声をかけた。

すると歩みを止め、大きな目をこちらに向け「目があった!」という。

 

翌朝もまだ、壁板の最上部でごそごそ動いていた。

「卵を産む場所を探しているようだね」と妻が言った。

 

ネットで調べると、「カマキリがこちらを向いた瞬間に目が合ったような気持ちになる」とあり、驚いた。

カマキリは春に生まれて、夏に成虫になり、秋に交尾・交配し一生を終える。さなぎにならず卵で冬を過ごす、という。

 

夫婦共に「小さな生命の営み」に慈しみの目を向けることが多くなった。

畑の雑草、蝶、野菜についている幼虫・・・。

生きていることに対して、心からの感謝の念がわいてくる。

春に卵から生まれる様子を「観察する楽しみ」ができた。